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線形数理要論予備試験 第1問

線形代数 雑記

問題

$m \times n $行列$A$と$n \times m $行列$B$に関して,
\begin{align}
\det \left( I_m + AB \right) = \det \left( I_n + BA\right)
\end{align}
であることを示す.

解答

簡単な場合から考えます

正方行列の場合

$m = n$のとき, つまり$A$, $B$が正方行列である場合を考えます.
ランク標準形を利用して考えます..
行列$A$のランクを$r_A$として,
$r_A$次の単位行列$I_{r_A}$とする.
このとき, ある正則行列$P$, $Q$で,
\begin{eqnarray*}
PAQ & = & \left[\begin{array}{cc}
I_{r_A} & O\\
O & O
\end{array}\right]\\
& = & R_{A}
\end{eqnarray*}
となるようなものが存在します.
ここで, $R_A$は$A$のランク標準形です.
$P$は行基本変形を施す行列, $Q$は列基本変形を施す行列を表します.

ランク標準形を活かすように$AB$を変換していくと,
\begin{align*}
PABP^{-1} &=\left(PAQ \right )\left(Q^{-1} B P^{-1}\right)\\
&= R_A U
\end{align*}
となります.
ここで, $Q^{-1}BP^{-1}$を$U$としました.
$BA$についても同様に,
\begin{align*}
Q^{-1}BAQ &= \left(Q^{-1}BP^{-1}\right) \left(PAQ\right) \\
&= U R_A
\end{align*}
とできます.
なので,
\begin{align*}
\det\left( I + AB \right) &= \det P \det\left(I + AB\right) \det P^{-1} \\
&= \det\left( P I P^{-1} + PABP^{-1} \right)\\
&= \det \left(I + R_A U \right),
\end{align*}
\begin{align*}
\det \left( I + BA\right) &= \det Q^{-1} \det \left( I + BA \right)\det Q \\
&= \det \left(Q^{-1}IQ + Q^{-1} BA Q \right) \\
&= \det \left(I + U R_A \right)
\end{align*}
となります.

$U$を4つに分割して計算を進めます.
$U_{11}$が$r_A$次の正方行列になるように$U$を分割すると,
\begin{eqnarray*}
UR_A = \left[\begin{array}{cc}
U_{11} & U_{12}\\
U_{21} & U_{22}
\end{array}\right]
\left[\begin{array}{cc}
I_{A} & O\\
O & O
\end{array}\right] & = & \left[\begin{array}{cc}
U_{11} & O\\
U_{21} & O
\end{array}\right], \\
R_A U = \left[\begin{array}{cc}
I_{A} & O\\
O & O
\end{array}\right]\left[\begin{array}{cc}
U_{11} & U_{12}\\
U_{21} & U_{22}
\end{array}\right] & = & \left[\begin{array}{cc}
U_{11} & U_{12}\\
O & O
\end{array}\right]
\end{eqnarray*}
となります.
行列式を計算してみると,
\begin{eqnarray*}
\det \left(I + UR_A \right) = \det \left[\begin{array}{cc}
U_{11}+I_{r_A} & O\\
U_{21} & I_{m-r_A}
\end{array}\right] & = & \det \left( I_{r_A} + U_{11} \right), \\
\det\left( I + R_A U \right) = \det \left[\begin{array}{cc}
U_{11}+I_{r_A} & U_{12}\\
O & I_{m - r_A}
\end{array}\right] & = & \det \left( I_{r_A} + U_{11}\right)
\end{eqnarray*}
となるので題意は示されました.

正方行列でない場合

$m > n $のときは 正方行列に変換します.
$\hat{A} = [A ~ | ~ O]$として,
$\hat{A}$ が $ m $次の正方行列になるようにゼロ行列を追加します.
同様に$ m $次の正方行列$\hat{B}$を作ります.
$\hat{A} \hat{B}$について,
\[
\left[\begin{array}{cc}
A & O\end{array}\right]\left[\begin{array}{c}
B\\
O
\end{array}\right]=\left[\begin{array}{cc}
AB & O\\
O & O \\
\end{array}\right]
\]
となります. $\hat{B}\hat{A}$についても同様です.

$\hat{A}$, $\hat{B}$は正方行列なので,
\begin{align*}
\det (I + A B) &= \det (I + \hat{A} \hat {B}) \\
&= \det (I + \hat{B}\hat{A}) = \det(I + BA)
\end{align*}
ですね.
$m < n$の場合も同様.
以上です.

感想

ジョルダン標準形を考えると, ABとBAの対角要素の非ゼロ成分は同じになる気がします.
証明が分かりません. どうしましょう.
このことを使えれば, 問題はすぐに解けるのに.
諦めてランク標準形を使った証明をしました. 残念.